「会社員は安定している」 「大手企業なら、将来も安泰だ」
ほんの数年前まで、僕もその言葉を信じて、疑うことさえしませんでした。 しかし、心の奥底では、日に日に大きくなる違和感が、無視できないほどの音量を上げていました。
「お前は、このままで本当にいいのか?」と。
この記事は、僕がなぜ世間が言う「安定」という名の船を降りて、自らの「直感」だけを頼りに、営業職を辞めたいという想いに従い、新しい航海に出たのか、その本当の理由についてお話しします。
僕がいた「安定」という名の“終わらない周回コース”

新卒で入社したのは、誰もが知る大手通信会社でした。福利厚生は手厚く、残業も少ない。法人向けの営業職として、それなりに成果も出していました。
客観的に見れば、何一つ不満のない、恵まれた環境だったはずです。 しかし、僕の日常は、いつしか「同じことの繰り返し」になっていました。
朝、出勤してメールを返す。日中は顧客を訪問し、夜は提案資料を作る。週の終わりには、抱えている案件の状況を報告する。そして半期が終われば、またゼロから新しい数字目標が課せられる。
どんなに目の前の目標を達成しても、給料が劇的に変わるわけでもない。 僕は、前に進んでいるようで、実は同じ場所のトラックをただ何周も何周も走り続けているだけなのではないか。そんな感覚に、静かに心を蝕まれていました。
景色が止まって見えた、あの日のこと

その感覚が「確信」に変わった、忘れられない一日があります。
いつものように、先輩社員と営業先へ向かっている時でした。訪問先の、空を突き刺すような巨大なオフィスビルを見上げて、ふと、僕の足は止まりました。
「自分は、一体何をやっているんだろう」
3年後、5年後、10年後も、僕はこうやって、同じようにビルを見上げ、同じような提案資料を届け続けるのだろうか。その先に、僕が本当に望む人生はあるのだろうか。
気づけば、僕は隣を歩く先輩に、心の声をもらしていました。 「このまま営業を続けていて、未来、あるんですかね」
先輩は一瞬、遠い目をして、そして、悲しげな表情で、たった一言だけこう言いました。
「…ないね」
その言葉を聞いた瞬間、僕はすべてを理解しました。 「自分を変えるなら、今しかない」と。
本当のリスクは「変わらないこと」だった
僕が「営業職を辞めたい」と決意した時、もちろん恐怖はありました。 「会社員の安定」という、これまで自分を守ってくれていたものを手放すことへの、計り知れない恐怖です。
しかし、あの日の先輩の「ないね」という言葉は、僕に本当のリスクが何であるかを教えてくれました。
本当のリスクとは、「挑戦して失敗すること」ではありません。 本当のリスクとは、「挑戦せずに、変わらない毎日を続け、希望のない未来を受け入れてしまうこと」だったのです。
僕は自問自答しました。 「人生最後の日、挑戦しなかった今日の自分を振り返って、心から笑えるだろうか?」
答えは、明確に「NO」でした。 僕は、他人の価値観や、世間の言う「安定」を言い訳にして、自分の人生を諦める人間にはなりたくなかった。失敗のリスクよりも、後悔の毒の方が、遥かに自分の人生を破壊すると、直感で理解したのです。
「安定」を手放した先にある、僕の「今日」という一日
安定を手放した今、僕は人生で最高の瞬間を生きていると、確信を持って言えます。
朝、満員電車に揺られることなく、ゆっくりと散歩をしてから仕事に取り掛かる。 いつ休憩を取るかも、平日の昼からサウナに行くのも、全てが自由。 誰かに与えられた目標ではなく、自分で決めた目標を達成すれば、その分だけ収入も増える。
そして何より、「会社の看板」なしのありのままの自分自身が、スキルや知識で直接お客様の力になり、「ありがとう」と言われる。社会に貢献できているという、確かな手応えがあります。
「死ぬときに後悔しない生き方ができている」 この確信こそが、僕があの日、安定と引き換えに手に入れた、本当の「安心」なのだと思います。
あなたの中の「後悔のサイン」に気づくための3つの質問
もし、あなたがかつての僕と同じように、今のキャリアに違和感を抱いているなら、少しだけ立ち止まって、自分自身に以下の質問をしてみてください。
- もし、お金の心配が一切なかったら、明日から何をしたい?
- 人生を振り返った時、今の毎日が「最高の瞬間だ」と心から言える?
- 5年後も、今と全く同じ仕事を続けていたいと思う?
これらの問いへの答えの中に、あなたの心が本当に求めているもの、そして「後悔のサイン」が隠れているはずです。 その声に耳を傾けること。それが、あなたの人生を変える、最初の、そして最も重要な一歩になります。
