「クラウドエンジニア」
この言葉を聞いて、あなたは何をイメージしますか? 「なんだか最先端で、カッコよさそう」 「でも、超優秀なプログラマーしかなれない、別世界の話でしょ?」
もしあなたが今、そんな漠然としたイメージしか持てずに、「クラウド エンジニア 難しい」と検索し、行動をためらっているなら。 この記事は、あなたのその固定観念を、気持ちよく破壊するためのものです。
何を隠そう、僕自身もかつてはクラウドという言葉に苦手意識を持っていました。しかし、営業からキャリアチェンジを果たし、Azureのインフラ構築 (IaaS) からMicrosoft 365の導入支援 (SaaS) まで、クラウド系エンジニアとして様々な現場を経験した今なら、断言できます。
クラウドエンジニアへの道は、決してプログラマーだけの特権ではありません。 むしろ、あなたの営業経験こそが、最強の武器になる、巨大な可能性に満ちた世界なのです。
今回は、「クラウドエンジニアとは」何か、その正体から、未経験者が最も効率的に目指せる「クラウドエンジニアのなり方」まで、僕のリアルな経験を交えながら、全てお話しします。
そもそも「クラウドエンジニアとは?」仕事内容を3種類に分けて解説

まず、一番大事なことから。 「クラウドエンジニア」と一括りにされがちですが、その役割は大きく3つの種類に分かれています。 これは、家づくりにたとえると非常に分かりやすいです。
① IaaS (イァース) エンジニア:『土地と基礎』を作る専門家
- 仕事内容: 
 サーバー、ストレージ、ネットワークといった、ITシステムの最も根幹となる「インフラ」を、クラウド上に仮想的に構築します。AWSのEC2やAzure Virtual Machinesなどが代表例です。
- 家づくりのたとえ: 
 まさに、更地の状態から「土地を整備」し、「家の基礎工事」を行うような仕事です。最も自由度が高い分、幅広いインフラ知識が求められます。
- 僕の経験: 
 僕もAzureを使い、お客様の要望に合わせてサーバーやネットワークを設計・構築する、このIaaSの領域を経験しました。非常に奥深く、ITの根幹を支えている実感を得られる仕事です。
② PaaS (パース) エンジニア:『骨組みと内装』まで用意する専門家
- 仕事内容: 
 IaaSの基盤の上に、アプリケーションが動くためのOSやデータベースといった「環境(プラットフォーム)」までを構築します。開発者は、この用意された環境の上で、開発作業に集中できます。
- 家づくりのたとえ: 
 基礎工事だけでなく、「家の骨組み」や「壁、床、天井」の内装までが完了している状態。住人(開発者)は、家具を持ち込むだけですぐに生活を始められます。
③ SaaS (サース) エンジニア:『家具付きの最高級マンション』を提供する専門家
- 仕事内容: 
 Microsoft 365やSalesforceのように、すでに完成されたソフトウェア(サービス)を、お客様の業務に合わせて設定・最適化し、活用を支援します。プログラミングは、ほぼ不要です。
- 家づくりのたとえ: 
 最高級の家具や家電がすべて備え付けられたマンションの一室を提供するような仕事です。住人(お客様)は、契約したその日から、最高の環境で生活を始めることができます。
- 僕の経験: 
 現在の僕のメインの仕事が、まさにこれです。Microsoft 365という強力なツールを使い、お客様の働き方を劇的に変えるお手伝いをしています。
そう、クラウドエンジニアとは、必ずしもゼロからコードを書く人だけを指すのではないのです。特にSaaSの領域では、技術力以上に「顧客の業務を理解し、最適な活用法を提案する力」、つまりあなたの営業経験が直接的に活きてくるのです。
「クラウドエンジニアになるのは、難しい?」その“誤解”と“真実”
「でも、やっぱりクラウドエンジニアになるのは難しいんでしょ?」 その問いに対する僕の答えは、「YES」でもあり、「NO」でもあります。
誤解されている難しさ
多くの人が「プログラミング能力の高さ」が必須だと思っていますが、これは誤解です。特にSaaSエンジニアを目指すのであれば、プログラミングは必須ではありません。それよりも、論理的に物事を組み立てる思考力、まるで複雑なレゴブロックを組み上げるような感覚の方が重要です。
本当の難しさ
クラウドエンジニアにとって本当に大変なのは、サービスのアップデートが異常に速いことです。昨日まで使えていた機能が、今日には新しいものに変わっている。常に新しい情報をキャッチアップし、学び続ける姿勢がなければ、あっという間に時代遅れになってしまいます。
しかし、この「学び続ける」という行為こそ、あなたの市場価値を上げ続けることに直結します。変化が激しいからこそ、そこにチャンスがあるのです。
【3ヶ月でOK】元営業の僕が推奨する「クラウドエンジニアのなり方」

では、具体的にどうすればクラウドエンジニアになれるのか。僕が今、未経験から目指すなら、と仮定して立てた、最も現実的な3ヶ月の学習ロードマップをご紹介します。
【1ヶ月目:土台作り】IT世界の共通言語をインプットする
まずは焦らず、ITインフラの基礎知識を身につけましょう。これがなければ、クラウドという「建物」の構造を理解できません。 以前の記事でも紹介した、ネットワーク、サーバー、クラウドの基礎が分かる3冊の入門書を、ざっとでいいので読み通してください。ここが全ての土台になります。
【2ヶ月目:クラウド選択】自分の「主戦場」を決め、触ってみる
次に、自分がどのクラウドサービスを専門にするか、主戦場を決めます。代表的なのはAWS、Azure、Google Cloudですが、僕が特におすすめするのはMicrosoft 365です。なぜなら、日本の大企業のほとんどが導入しており、あなたの営業経験が活きるエンタープライズ向けの案件が豊富だからです。
そして、必ず無料アカウントを作成し、実際に触ってみてください。 Microsoft 365なら試用版でユーザーを一人作ってみる。この「手を動かした経験」が、あなたの血肉になります。
【3ヶ月目:資格取得】知識を体系化し、「本気度」を証明する
最後に、基礎的な資格の取得を目指しましょう。 目的は、資格そのものよりも、試験勉強を通じて、これまで学んだ知識を体系的に整理し、定着させることです。そして、「未経験から、ここまで自走して学習しました」という、あなたの本気度を証明する最強の武器になります。
- AWSを目指すなら: AWS Certified Cloud Practitioner
- Azureを目指すなら: Microsoft Certified: Azure Fundamentals (AZ-900)
- Microsoft 365を目指すなら:MS-900 Microsoft 365 Fundamentals
あなたに「クラウドエンジニア」の適性はあるか?
ここまで読んで、少しでも「面白そうかも」と感じたあなた。 最後に、自分に適性があるか、簡単なチェックをしてみましょう。
- ITという道具で、世の中が便利になることにワクワクする?
- 複雑なパズルや、レゴブロックを組み立てるのが好き?
- 新しいことを学び続けることに、苦痛より楽しさを感じる?
- そして何より、誰かの「困った」を、テクノロジーで解決することに喜びを感じる?
もし、一つでも「YES」があるなら、あなたにはクラウドエンジ ニアとしての素質が十分にあります。
クラウドエンジニアの世界は、あなたが思っているよりもずっと広く、そして奥深い。 プログラミングという一つの道だけが、エンジニアへの道ではありません。 あなたのその素晴らしい営業経験を武器に、新しいキャリアの扉を開いてみませんか?
 
