「エンジニアに転職したい。でも、未経験だと年収が下がるって聞くし…」

キャリアチェンジを考えたことがあるあなたなら、一度は必ずこの壁にぶつかったことがあるはずです。 生活レベルを下げてまで、リスクを取るべきなのか。その不安が、あなたの一歩を重くしているのではないでしょうか。

結論から言います。 僕の場合、年収は下がるどころか、最終的に会社員時代の3倍になりました。

これは、僕に特別な才能があったからではありません。 フリーランス会社員といった働き方を問わず、エンジニアとして年収を上げるための、明確な「戦略」があったからです。

今回は、巷に溢れる「年収ダウンは仕方ない」という常識を覆す、僕が実践したリアルな話をします。

事実:最初のキャリアチェンジで、僕の年収は下がらなかった

まず、多くの人が気になるであろう、営業職から会社員エンジニアへの最初のキャリアチェンジ。 僕は希望の部署へ社内異動する形で実現しましたが、その際、給料が下がることはありませんでした。

もちろん、いきなり給料が上がったわけではありません。 しかし、異動後の昇給の幅は、営業職の頃より明らかに大きくなりました。それは、僕が足を踏み入れた領域が、会社にとって、そして市場にとって、より価値の高いものだったからです。

「未経験だから年収ダウンもやむなし」と考える前に、まずは「年収が上がりやすい場所」を選ぶ。それが戦略の第一歩です。

「稼げるエンジニア」になるための3つの原則

僕がフリーランスになって年収3倍を達成できたのは、会社員時代から、常に以下の3つの原則を意識していたからです。

原則①:戦場を選べ。コモディティ化のレッドオーシャンで戦わない

正直に言うと、私がM365の道に進んだのは、いくつかの偶然が重なったからです。 最初は、私もあなたと同じように、「開発系エンジニアの方がなんかかっこいい」とすら思っていました。

しかし、その道は、私にとって「失敗」でした。 プログラミングスクールの「50万円」という金額に尻込みし、独学でPythonやUdemyに挑戦しましたが、2ヶ月本気でやっても「Hello, World!」の先にある「クラス」や「オブジェクト指向」が、まったく「面白くない」。 (IT用語が分からなすぎて、参考書を壁に投げつけたこともあります…)

「自分には才能がない」と絶望していた時、社内公募で「M365エンジニア(プログラミング不要)」という「カンダタのクモの糸」を見つけたのです。

フリーランスエージェントからは「インフラ系(M365も広義ではここ)で独立するのは難しいですよ」と言われ、不安を感じたこともあります。 しかし、現場でニーズの爆発的な高さを肌で感じた時、私は確信しました。 「フリーランス市場で注目されていないこの領域こそ、狙い目じゃないか」と。

PythonやRubyといった人気言語は、確かに魅力的です。 しかし、そこは、10代の天才や理系出身者がひしめく、人材が飽和した激戦区(レッドオーシャン)です。 スキルが低い未経験者は、買い叩かれるのが現実です。

稼げるエンジニアになるための最初の秘訣は、スキル自慢の猛者が集まる戦場を避け、自分だけが価値を発揮できる、競争相手の少ない「戦場(ブルーオーシャン)」を意図的に選ぶことです。

原則②:最強の武器を振るえ。「コミュニケーション能力」は圧倒的な希少スキルである

「戦場」を選んだら、次は「武器」です。 エンジニア転職するからといって、あなたの武器は「レベル1のITスキル」だけではありません。

あなたが営業として5年、10年と培ってきた「コミュニケーション能力」こそ、エンジニアの世界では誰もが欲しがる、最強の「引き継ぎスキル」なのです。

なぜか? (これは私の偏見かもしれませんが)私が出会ってきたエンジニアの8割は、コミュニケーション能力が著しく低い、という印象でした。

実際、フリーランスエージェントは、エンジニアとの面談前に「言われたことだけに答える」「元気にはきはき話す」といった、まるで新卒研修のような注意喚起を、長文メールで送ってきます。 これは裏を返せば、「相手の目線に立って、普通の会話ができる」というだけで、あなたは他のエンジニアと圧倒的な差別化ができるということです

【私の体験談:サバンナのうさぎ、ライオンの仕事を奪う】
私が営業からエンジニア部署に異動した初日。 周りは全員「本物」のエンジニア(ライオン)ばかり。プログラミングも書けない私は、まるで「サバンナに投げ出されたうさぎ」でした。

しかし、私はその「サバンナ」で、ライオンたちが苦手な仕事を見つけました。 それは「部署の予算達成状況の報告」や「数字の管理」です。

私はすぐにマネージャーに申し出ました。 「エンジニアの仕事はまだ半人前ですが、この『数字報告』のタスク、私が巻き取ってもいいですか? 営業時代、ずっとやってきたので、得意なんです」

マネージャーは満面の笑みで「ぜひ!」と言いました。 私は、「レベル1のエンジニア」として萎縮するのではなく、 「レベル30の営業スキルを引き継いだ、レベル1のエンジニア」として、 エンジニアたちが苦手とするタスクを「営業スキル」で瞬殺し、部署に貢献することから始めたのです。

技術力は後から学べます。しかし、コミュニケーション能力は経験がものを言います。 あなたのその「当たり前」の経験こそが、高い年収に繋がるのです。

原則③:進化を止めるな。自ら考え、学び続ける

言われたことしかできない。1年前と同じ仕事しかしていない。 そんなエンジニアが、職場から静かに去っていくのを、僕は何度も見てきました。

稼げるエンジニアは、常に自分という商品をアップデートし続けます。 新しい技術をキャッチアップし、時にはマーケティングやデザインといった領域外のスキルも貪欲に学び、「どうすればもっと顧客に価値提供できるか」を自ら考え、行動するのです。

顧客や会社に価値を提供し続けてこそ、報酬は発生します。 「この人は、次々と新しい価値を提供してくれる」 そう思われる存在になれば、会社員なら昇給し、フリーランスなら単価交渉が容易になるのは、当然のことです。

最後に。「収入」と「やりがい」のリアルな話

年収を上げる」という現実的な話をしてきましたが、私が伝えたいのは、お金だけが全てではない、ということです。

私の場合、幸運にもM365の道は、高い「収入」と「やりがい」の両方をもたらしてくれました。

しかし、もしあなたが今、会社員として燻(くすぶ)っているなら、私はまず「収入」を上げることを優先していいと考えています。 やりがいがあっても、収入が低ければ、生活は苦しく、その情熱は持続しません。 しかし、まず収入が上がれば、心に余裕が生まれます。その余裕を使って、新しいやりがいを見つけることも、副業で本当に好きなことに挑戦することもできる。

収入が上がれば必ずしも幸福になるわけではないですが、お金で解決できる「不幸」は、最小化できます。

未経験エンジニアは年収が下がる」 それは、戦略なき者の言い訳です。

正しい戦場を選び、あなたの武器(営業経験)を磨き、進化を止めない。 それさえできれば、あなたの市場価値は、あなたが思っている以上に、高く評価されます。