これまでの記事で、僕は「開発しないエンジニア」という道があること、そしてそれがIT営業が抱えるキャリアの閉塞感を打ち破る鍵になる、という話をしてきました。

きっと、あなたの心の中には、こんな疑問が浮かんでいるはずです。

「本当に、プログラミングもできない自分の営業経験が、エンジニアの世界で通用するんだろうか…?」

結論から言います。 通用するどころか、それこそが、あなたを他のエンジニアと差別化する「最強の武器」になります。

僕自身、大手通信会社の営業からM365エンジニアに転身して、その事実を痛感しました。

今回は、なぜあなたの「営業経験」がこれからの時代に求められるのか。その具体的な理由を3つのスキルに分解して解説します。

理由①:顧客の「言葉にならない悩み」を引き出す”ヒアリング能力”

「うちの会社、Microsoft 365を導入したはいいけど、全然使いこなせてなくて…」

M365エンジニアの仕事は、お客様のこの一言から始まります。

この時、ただ「では、Teamsの使い方を教えますね」と機能説明をするだけのエンジニアは二流です。

一流のM365エンジニアは、ここから営業時代に培ったヒアリング能力を駆使します。

  • 「『使いこなせていない』というのは、具体的にどんな場面で感じますか?」
  • 「情報共有で、一番時間がかかっているのはどの部署の、どんな業務ですか?」
  • 「本当は、どんな状態になるのが理想だとお考えですか?」

このように、顧客自身も気づいていない「本当の課題」を深掘りしていくプロセスは、まさに営業そのものです。

技術力は後からでも学べます。しかし、顧客の本音を引き出し、信頼関係を築くこの能力は、一朝一夕では身につきません。あなたが営業として顧客と向き合い続けてきた時間こそが、技術的な壁をいとも簡単に飛び越える強力なジャンプ台になるのです。

理由②:ツールの機能と「会社の課題」を結びつける”課題発見・提案能力”

ヒアリングで本質的な課題が見えてきたら、次はその解決策を提示するフェーズです。

例えば、「承認フローが紙とメールで煩雑になっており、稟議に1週間もかかっている」という課題が見つかったとします。

この時、あなたの頭の中では、営業時代の経験がフル回転するはずです。

  • 「これは、Teamsの承認アプリを使えば解決できるな」
  • 「いや、もっと複雑な分岐が必要ならPower Automateで自動化フローを組んだ方がいいかもしれない」
  • 「まずは経理部からスモールスタートして、成功事例を作ってから全社に展開しよう」

このように、M365という武器庫の中から、顧客の課題を解決するための最適な武器を選び出し、その導入効果まで含めて提案する能力。これこそ、営業経験者が最も得意とするところではないでしょうか。

多くの技術者出身のエンジニアは、「何ができるか(What)」は語れても、「顧客のために何をすべきか(How/Why)」を語るのが苦手な場合があります。

あなたは、その両方を語れる稀有な存在になれるのです。それは、企業のDX推進において、喉から手が出るほど求められている人材です。

理由③:「現場の抵抗」を乗り越え、プロジェクトを推進する”調整・推進能力”

どんなに素晴らしいシステムを導入しても、それを使う「人」が変わらなければ、プロジェクトは失敗します。

「新しいツールは覚えるのが面倒だ」 「今までのやり方で十分だ」

こうした現場の「抵抗勢力」は、必ず現れます。

この時、ただツールの利便性を説くだけでは、人の心は動きません。必要なのは、各部署のキーマンを巻き込み、変化への不安を取り除き、時には泥臭く人間関係を調整しながら、プロジェクトを前に進める力です。

これって、まさに大規模な案件を受注するために、社内の様々な部署を調整していた、あの営業の仕事そのものだと思いませんか?

技術的な正しさだけでは、プロジェクトは成功しない。最終的に物事を動かすのは「人」である。 このことを肌感覚で理解しているあなたの経験は、M365エンジニアとして、単なる技術者で終わらない「プロジェクトマネージャー」としての価値を発揮する上で、決定的な差を生み出します。

「技術」はあなたを助けるツールでしかない

もうお分かりいただけたでしょうか。

M365エンジニアの世界では、プログラミング能力が主役なのではありません。主役はあくまで、顧客の課題を解決する力です。

あなたが営業として培ってきた、

  • ヒアリング能力
  • 課題発見・提案能力
  • 調整・推進能力

これら全てが、そのまま新しいキャリアでの「市場価値」に直結します。技術(M365)は、その価値を最大化するための強力な武器(ツール)に過ぎないのです。

「自分には何もない」なんてことは、決してありません。あなたはすでに、新しいキャリアで成功するための、最も重要な資産をその手に持っています。

次回の記事では、「プログラミング不要」で「高年収」を狙えるのか?」という疑問にお答えします。みなさんの一番の不安は「年収が下がること」かと思います。僕もそのひとりでした。詳しく記事で解説していきますね。

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